創立年月日 | 昭和34年1月24日 |
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所在地 | 〒389-2792 下水内郡栄村北信3602-1 |
TEL | 0269-87-3211 |
FAX | 020-4664-2284 |
職員数 | 3名(歯科医師1名、歯科衛生士2名) |
日本一の豪雪地帯診療所として
栄村は長野県最北端に位置し、新潟県および群馬県と県境を接する南北に広大な自然豊かな山村である。住民のほとんどは北部のJR飯山線および国道117号線に近い地域に偏在しているが、南部にはTV等でしばしば紹介され今や有名な観光地となった「秋山郷」の集落がある。
栄村は豪雪地として知られ、昭和20年2月には、中心部のJR森宮野原駅前で7m85cmという日本一の積雪を記録しており、さらに人間が通常の生活を営んでいる場所としては世界一の豪雪地とさえいわれている。
人口は約2,600人、高齢化率41%で、長野県の他の中山間地同様過疎と高齢化が急速に進行している。
村内の医療機関としては、かつて国保直営であったが今は民営となった内科の栄村診療所と、当栄村国保歯科診療所のみであるが、県境をはさんで隣接する新潟県津南町(人口約12,000人)に歯科もある町立の総合病院が1ヶ所、内科医院が2ヶ所、歯科医院が3ヶ所あり、県境に近い地域の双方の住民は県境を越えて相互に通院している。
この津南町と栄村のつながりは、日常の生活面においても、長野県内の隣接地である飯山市よりかえって強い感がある。と言うのも、中心部間の距離で飯山市まで30数kmに対し津南町まで10km、国道の道路状況も飯山までは最近まで一部離合も困難な悪路であったのに対し、津南までは豪雪時にも安全に通行できる整備状況であった。したがって救急医療においても、平成10年に念願の常設消防が栄村に設置されるまで、村内の大半の地域で津南の救急車を要請していた。常設消防の設置された現在では、逆に津南の県境地域の救急を栄村が請け負っている。
さて、当栄村国保歯科診療所は昭和55年に開設され、当時の国保栄村診療所(内科)とともに栄村保健センターとして新設された施設内に設置され、現在に至っている。また平成7年には隣接地に高齢者総合福祉センターが建設され、ここにはデイサービス、ショートステイ等を行う老人保健施設、在宅介護支援センター、高齢者住宅、社会福祉協議会が置かれ、保健・医療・福祉の一元化が図られている。そしてデイサービスのついでに歯科治療を受診する患者さんも少なくない。
当診療所では一般の歯科診療を行っているが、最大の特徴は地域の特性もあって患者さんの大半が有病高齢者ということである。したがってその治療に際しては、たとえ簡単な虫歯の治療や抜歯等の観血処置においても、通常の健康な成人とは違った注意を要する。
術前の充分な問診と必要ならその全身疾患の主治医への問い合わせを行い、細心の注意を払って処置を行わないと、術中あるいは術後に様々なトラブルが発生しうる。術前の問診や対診によりトラブル発生の可能性が高いケースや、全身状態不良の患者さんは口腔外科へ紹介することになるが、近在には無く、車で片道2時間近くかかる長野の長野赤十字病院に紹介せざるを得ず、患者さんや家族の負担は大きい。近在の病院に口腔外科の設置が望まれる。
歯科医院に限れば車で30分ないし40分で飯山市や新潟の十日町市があり、この範囲内に20軒以上の医院があって、自分で車の運転が可能な患者さんには選択の余地があるが、公共交通機関に乏しいこの地域で、それ以外の高齢者を中心とした患者さんには当歯科診療所が唯一の頼みとなるので、今後もその使命を果たしていきたい。